2008年7月30日水曜日

『君たちに明日はない』 垣根涼介 新潮文庫

こんな気がめいる仕事をテーマに、ぎりぎりのところで踏みとどまる作者の技量に感服。というかこんなテーマで書く勇気に。

2008年7月29日火曜日

『憑神』 浅田次郎 新潮文庫

浅田次郎はなぜか読まず嫌いで(とはいえ結果的には結構読んだが)今まで来たのだが、この作品はすごい。主人公が格好よすぎるのは確かだけど。しかし貧乏神も厄病神も、なんだかいい人なのがおかしい。

2008年7月27日日曜日

『ドリームガール』 ロバート・B・パーカー 早川書房

スペンサー・シリーズ第34作。さすがにいつもの通りで、この辺で入浴シーンが出るぞと思うとやはり由美かおるが、状態。文句言っているわけではもちろん全然ありません。
スペンサー・シリーズでかつて関わった子供が成長してまた登場する作品では、スペンサーが擬似父親として見守って、助けてめでたし、というのが多いような気がするけど、この作品のラストは苦い。

2008年7月26日土曜日

『空中ブランコ』 奥田英朗 文藝春秋

伊良部一郎シリーズ第二作。軽く読めるけど、いまいち。第一作より更に毒がなくなって。ずいぶんいい人になってしまった。いいんだけど。

2008年7月21日月曜日

買ってもらって文句言ってはいけないのですが

誕生日のプレゼントに自転車を買ってもらう。もとからつまねこと兼用のつもりだからママチャリは当然。でもなあ荷台のカゴって・・・・萎えるんだな。隣に置いてあったGIANTのクロスバイク格好よかった。ああ。

2008年7月20日日曜日

『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』

こねこと観に行って来ました(笑)。案外と混んでいて予約を取っていって正解。
まあどうでもいいんですが、
①やっぱりウェンツってなあ
②田中麗奈は特殊メイクなしでも猫娘まんま
③CGもよく出来ているんだけど、どうも「乾いた」感じ。妖怪ってぬるっ、びしゃ、って感じ(触ったことないけど)がするんじゃないかなあ。

『オレたちバブル入行組』 池井戸潤 文藝春秋

装丁と青春小説みたいなタイトルで損してる。中身は超リアルな銀行の内実と復讐譚で、背筋が凍る話と言っていい。今は吸収合併されてなくなってしまった銀行に就職していった僕の同級生たちは今頃どうしているだろうか。他人事じゃない思いで読んでいた。結末のつけ方には不満がある。ここは告訴しなくていけないだろう。主人公の野望のためにはこうするしかないんだろうけど。後味はよくない。銀行ってそもそもそんなところなんだろうけど。

2008年7月19日土曜日

こねこお菓子をもらう

ということで午前中はつまねこの怒りの鉄拳でばしばし勉強させられていたこねこは、昼食にとんかつ定食をたいらげて復活し(こいつは立ち直りだけは早い。怒られたこともすぐ忘れる)、一緒に屋外のプールに。先週はここに来る途中でクレジットカードを落として大騒ぎしたのだが、今日は平和に水泳を楽しんだ。やっぱり外で泳ぐのはいいなあ。
帰路にバスを待っているとおばあちゃんたちの一団と一緒になった。どうもあちこちを散策して楽しんでいるらしい。バスの中でこねこはお菓子をたくさんいただいた。こいつは性格はケロロみたいな奴だが、顔立ちだけはいいので赤ん坊の頃から街中で知らないお年寄りからあんまり可愛くて、とか言われてよくお菓子をもらってきた歴史がある。おお良くやった、と帰宅しておやつにしました。

『日本橋バビロン』 小林信彦 文藝春秋

小林信彦は父とほぼ同年代で、そのせいもあって戦前・戦後の回想の文を読むと、住んでいた場所も環境も全くちがっていても親しみを感じていた。まもなくこうした世代がいなくなると戦前は江戸時代と同じくらい遠い世界になるのだろう。

多分梅雨明け

あまりの忙しさに読書メモしかつけられなかったこの数ヶ月。梅雨明けとともにようやくひと段落。
今朝書留が届いた。なんとこねこの夏季講習の組み分けテストの結果。なにも書留で送ることなかろうに。しかも結果はどべ。まったくもうこの子は。DS取り上げ決定。いやはや。

『月の裏側』 恩田陸 幻冬舎文庫

怖いなあ。自分が自分でなくなってしまったのに、それが自分でも分からないのは。淡々としているから余計に怖い。

2008年7月16日水曜日

『四度目の氷河期』 荻原浩 新潮社

またも直木賞落選、残念。ま、無冠の帝王もかっこいいけど。
標本として安置されているアイスマンに向かってお父さん、と呼びかけるという書き出しでどうなるかと思ったけど、さすが荻原浩でめちゃくちゃまっとうな青春小説。人と違うことを気にする、疎外するのが思春期なら、それでいいじゃんと思うのが青春期、俺はちょっと違うぜとはもう思えないのが中年か。

『二度のお別れ』 黒川博行 創元推理文庫

24年前に刊行された本。著者のデビュー作とあって、最後の章あたりは???の出来だけど、たしかに同時期に発生したグリコ・森永事件を思い起こすところも多くて、著者が刑事に執拗に職務質問を受けたというのもムリはない。

2008年7月14日月曜日

『傷だらけの天使 魔都に天使のハンマーを』 矢作俊彦 講談社

見ていないんだよなあ、原作のTV。放映された頃ってめちゃくちゃに忙しくてそれどころじゃなかった。
DVD借りてきて見るか。
それはともかく。数十年ぶりに浦島太郎状態で戻ってきて、ギャップに驚くというのは『ららら化學の子』と全く同じで、なんだよという感じもする。が、本書のほうがずっとこなれていて楽しめる。それにしてもホームレス、もとい宿無しだったくせに新宿に戻ったとたん大活躍の木暮修、あんたが一番のマンスーパーだって。

2008年7月12日土曜日

『蒲公英草子』 恩田陸 集英社文庫

のどかな雰囲気の中にもなにか起きそうな気配が終始漂っている。それにしても最後の『彼らが、そして私たちが、これからこの国を作っていくことができるのか、それだけの価値のある国なのかどうかを彼に尋ねてみたいのです』って言葉が重い。

2008年7月10日木曜日

『負け犬』 志水辰夫 講談社

負け犬 志水辰夫 と続けて書くだけであとは何もいらないような気がする。
短編集のタイトルは『負け犬』だけど、同名の短編はない。つまりここに出てくる男たちをひとくくりで言うと負け犬というわけか。勝ち組ならいいっていうことじゃない。負け犬だって別にいいんだ。

2008年7月9日水曜日

『武士の紋章』 池波正太郎 新潮文庫

池波正太郎の初期の作品を集めたもの。とても珍しい現代(といっても50年も前だが)の人物を主題とした『三根山』と『牧野富太郎』が面白い。いま、三根山みたいな相撲取りはいない。わずか50年なのに。

2008年7月7日月曜日

『アンダーリポート』 佐藤正午 集英社

尊敬する売れない作家、佐藤正午の交換殺人をテーマとするミステリ。相変わらず時間軸の使い方がうまくて、冒頭のシーンと最後のシーンがぐるっと回って閉じている。
映画の中でしかお目にかかれない交換殺人なんてものが本当に存在したのか?と主人公は追い詰めていく。犯人かもしれない女たちの気持ちはとても重い。
タイトルで損してる。アンダーリポートってどういう意味だ? 下書き? この辺は編集者の責任なんだろうけど。

2008年7月6日日曜日

『おたから蜜姫』 米村圭伍 新潮社

不思議なくらい売れない米村圭伍の『蜜姫』シリーズ第二作。竹取物語の成立の謎にまで迫る壮大な歴史ミステリなのだが・・・。うーん、ちょっと重すぎ。正直辛かった。もっとお気楽な物語のほうがこの人のテイストにあっていると思うのだけど。ということでこれも売れない(売れていない)んだろうな。