2008年6月29日日曜日

『そして、警官は奔る』 日明恩 講談社

訳あって第一作の『そして、警官は微笑む』より先に読んでしまいました。相変わらずヘビーな、不法滞在の外国人の問題を主題とする。
この作家、警官を主人公とするシリーズも、消防士を主人公とするシリーズも2作づつしか書いていない。それはないでしょう、キャリアとして警視庁に入った潮崎を書かないでどうするのよ。

2008年6月25日水曜日

『祝宴』 ディック・フランシス 早川書房

もう読めないと思っていたディック・フランシスの新作『再起』が刊行された時にはすぐに買ったのだが、本書は息子との共著、とのことでなんだかなと思ってとうとう買わなかった。今回図書館で借りてきたわけだけど、ま、それもいいかという感想。そもそも奥さんが生きていた時から本当は奥さんが書いていたのでは?とか噂があったくらいだし。ずいぶん雰囲気が以前とは違うのだけど、息子との共著のせいなのか、菊池光の訳ではないからなのかは不明。決してうまい訳者ではなかったけど菊池光の訳で読めないのがとても淋しい。

2008年6月22日日曜日

『破弾』 堂場瞬一 中公文庫

警察小説大好きのウォッチマン一押しの刑事鳴沢了シリーズの第二作。買ってから気づいた。しまった第一作は『雪虫』だった。でもこれは警視庁に転職してからの話なので、これはこれで独立して読める作品。でもねえ、制度的には年齢制限とかクリアすれば新潟県警を辞めて警視庁の試験を受け直すことは出来るけど、そんなことってありなんかなあ。やせ我慢=ハードボイルドであるなら、これ以上やせ我慢している主人公もないけど、そこだけは物語だからって許せるかどうか。
中公文庫でなぜこのシリーズが、ってずっと思っていたけど堂場瞬一って読売新聞の記者だったんだ。納得。

『噂』 荻原浩 新潮文庫

人よりはずいぶん本を読んでいるつもりだど、こういう本を今まで読んでいなかったかと思うと刊行されている、これから毎日刊行される星の数ほどの本の点数と自分の寿命を比べて絶望的な気持ちになる。
ということで恐れいりました。でもさあ敵討ちしたい気持ちは分かるけど立場ってものが。きもさぶ。

2008年6月18日水曜日

『深追い』 横山秀夫 実業之日本社

ちょっと前に刊行された警察小説。いつものように地方都市の陰々滅々たる警官たち。現実の警官たちってもっと普通で、退屈で、こんなに陰険ではなく・・・きっと。強盗殺人事件なんて(不謹慎であっても)ほとんどお祭り騒ぎなんだろうな。

2008年6月16日月曜日

『TSUNAMI』 高嶋哲夫 集英社

『M8』の続編。登場人物はほとんど同じ。今回の地震は3つ同時で、当然『M8』の何十倍もの被害が出る。東北の地震のニュースを聞きながらこの本を読むのは強烈な体験で、2日で読んでしまった。高さ数十メートルの津波(10階建てのビルの高さ!)なんて来た日には防ぎようもない。
違和感があったのは、作者は『M8』から首尾一貫して、今はムリだけど頑張ればいつか地震予知が出来ると思っているということ。ならいいんだけどさ。出来るのかなあ。

2008年6月14日土曜日

『小説以外』 恩田陸 新潮社 

つい1年ほど前まで恩田陸は読まず嫌いしていたんだけど、たまたま手にしたらあっという間にはまってしまって、今や文庫化されている作品はほとんど読破ということになってしまった。で、これは今月文庫になったんだが、ぱらぱらと立ち読みしてもいまいちの感じ。で図書館で借りてきた。
やっぱりもうちょっと。15年分のエッセイのまとめだから読み応えがなくても当たり前だけど、この人エッセイ下手。残念。

2008年6月12日木曜日

『埋み火』日名恩 講談社

雄大もちっとは(だいぶ)大人になってきて、おとーさんは嬉しい。
著者はこの本の後3年も新刊を出していない。守はアメリカに行って何を見つけてきたのか? 「あの人」とは? 頼む続編を書いてくれ。

2008年6月8日日曜日

『青年の完璧な幸福』 片岡義男 スイッチ・パブリッシング

片岡義男の作品は全て読んできたのだが、近年刷り部数が少なくなってきたのか定価が2000円超ばかりになってきてさすがにパスしてしまった。でもやっぱりと気を取り直して、昨年刊行のものを購入。
神保町って旅館や映画館などすっかり姿を消してしまったものと、古書店やラドリオやミロンガみたいにまだあるものが混在しているんですね。そういえば新宿と神保町を結ぶ都電って、靖国神社に行くためにおばあちゃんと良く乗っていたことをこの作品を読んでいて思い出した。明治通りにはトロリーバスも走っていたっけ。

2008年6月1日日曜日

『鎮火報』 日明 恩 講談社文庫

たちもり めぐみ と読む。恥ずかしながらずっと読めなかった。
親本が2003年に出て、文庫が2005年刊行。ごめん全然知らなかった。知らなくて損した。わが国初の消防士小説だというのに。うーんやられた。雄大かっこ良かったぜ。任務に励めよ。

『5』 佐藤正午 角川書店 

佐藤正午7年ぶりの長編小説でありながら、昨年1月の刊行以来まったく話題にならず。ま、この人の本って売れない。文庫の『Y』とか『ジャンプ』とかは実は大変なロングセラーだったりするから、正確には売れていないのではないけど、まあ売れないほうになるんだろう。人を喰ったような会話を真似した(と思われる)作家は何人もいるから影響力はきっとある。多分。
しかしあいかわらずもてもてなんだよな。この人。主人公と作家を同一視してはもちろんいけないんだけど、やっぱりもてもてとしか思えない。本筋とは全然関係ない話なんだけど。