鳩の撃退法

佐藤正午はうまい。もう惚れ惚れとしてしまうくらいうまい。そう思う人はあまり多くないとみえて本は売れないけど、編集者には絶大な人気があるんだと思う。じゃなかったらこんなに売れないのに40年近くも新刊が刊行されるわけもない。
この本の次の「月の満ち欠け」で直木賞を受賞したけど、この作品で受賞させるべきだった。ありとあらゆるテクニックを使って読書を引っ張り回して混乱させる。いったい「本当」って何のことなのか読んでいるうちに分からなくなってくる。
で、これを映画化するという無謀な企みがあった。まあ、こうなってしまうのは仕方がない。頑張ったと思う。全然違う作品になってしまったけど。でも藤原竜也じゃないんだよなあ。元直木賞作家で落ちぶれてデリヘルの運転手をやっていて、女にもててだらしなくて知的で。じゃあ、誰？というと思いつかない。うーん。